製作事例 植毛加工品の問題解決編

困難という壁を
乗り越えてきた先に
今がある

フロック加工は、様々な工程を経て出来上がります。単純に「生地との相性が悪いからダメだ」などでは終わらせません。
生地と相性のいい接着剤はあるのか?加工スピードの調節で変わるか?
長年やってきても気づかされることは多々あります。そんな試行錯誤した経験談をご紹介します。

京都パイルオリジナルのフロック加工が6種見える画像

PROBLEM SOLVING CASE

問題:堅牢度弱し!?

はく離に対して強度が求められるスポーツ衣料への植毛

スポーツウェアへのフロッキー加工の拡大画像

あるスポーツメーカー様からフロッキーを使用したゴルフウェアを作りたいとの問い合わせがありました。当時、スポーツウェアへのフロック植毛の実績がほとんどありませんでした。そこで、まずはパイルの種類や色の段階から打ち合わせを行い、試験品を作ることから始めました。ところが、初めての試みだったので、最初の試験品では大きな問題点が出てきました。スポーツウェア特有のナイロン地でツルツルした表面の生地であったため、付着させたパイルが簡単にはく離してしまうのです。とても商品化できないレベルだったので、「今回はやめようか?」とお客さまが言われたのですが、もう一度トライさせていただきたいとお願いしました。そして、弊社試験室の担当者、製造責任者にもっと付着強度を高める工夫をしてもらったのです。接着強度が異なる何種類ものバインダー(接着剤)を試し、激しい動きをした時に生地がごわついて不快感がないように粘度にも気を配りました。その結果、お客さまの要望にお応えできる堅牢度を出すことができました!お客さまには喜んでいただき、その後、当該製品はリピートオーダーをいただいております。

問題:触感硬し!?

肌に直接ふれるインナーウェアへの植毛

下着へのフロッキー加工の参考画像

女性肌着のブラジャーのベルト部分に肌触りが柔らかくなるようにフロッキーを使用したいとの依頼を受けました。通常、バインダー(接着剤)にはホルマリン(ホルムアルデヒド)が含まれているのですが、肌に直接触れる部分に使用するので、安全性確保のため含有量を10分の1以下にする必要がありました。そこで、バインダーの開発から行いました。この仕事はアメリカからの依頼でしたので、肌への影響を慎重に判断するため、アメリカにて100人分のパッチテスト(小片を一定時間以上、肌に付けて影響の有無を調査する)を行いました。なかなか思うような結果が出ず、途中でやはりダメか…と何度も思いました。しかし、諦めずに挑戦し続けた結果、安全性の確認が無事にとれて、最後には本受注の契約をいただきました!ご依頼から本受注まで1年半を要する大仕事でした。困難が多かった分、この仕事に関わった染工場さま、商社さま、バイヤーさまとはとても深い信頼関係が築けました。

問題:素材限定!?

ストレッチ性のあるボトムス用生地への植毛

ストレッチ性のあるボトムスへフロック加工のイメージ

ご依頼は「ボトムス用生地へフロック加工を」ということでしたので、当然のことながら擦れやヘタリに対して強度を確保しなければなりませんでした。しかし、生地が水分を吸収しやすい綿素材であったので、バインダー(接着剤)を塗付しても生地がすぐに吸い込んでしまい、植毛をした時の接着強度がなかなか確保できませんでした。ご依頼主さまはアメリカの某有名ブランドであり、ご依頼主さまの求める強度を確認しながら、何度もバインダー(接着剤)の開発とテストを行いました。植毛後の染色過程でも、植毛したパイルの脱落、染ムラ、生地の縮み等さまざまな問題がありましたが、一つ一つ解決し、半年がかりで製品化に成功しました!ご依頼主さまの商品はたいへんなヒット商品となったとのことで、非常に喜んでいただきました。

問題:通気性悪し!?

通気性が求められる製品への植毛

通気性が求められる生地へのフロック加工

フロック加工を施したシートを貼って使用する場合、シートを貼る時に間に空気が入ってしまい、気泡や皺ができて美観を損ねることがあります。これはシートが空気を通過させる素材であれば解決できるのですが、シートにバインダー(接着剤)を塗付する過程で空気の通り穴をふさいでしまうのです。対処療法として、植毛後のシートに針で細かい穴をあけるなど行っていましたが、お客さまの満足を100%得られるものではありませんでした。そこでシートが持つ本来の通気性を損なわないようにバインダーの改良を行いました。そして2年の歳月を経て、固まった後も通気性を確保できるバインダーの開発に成功しました!このバインダーでフロック加工してからは、気泡が発生しなくなったとお客さまから評価をいただいております。

仕上がり地味!?

植毛後の表面加工への対応

植毛後の検査風景

時々、「普通にフロック加工しただけでは面白みがないので、何か変化や動きを付けることはできないか」という依頼があります。弊社にある特注の加工機器を使用すれば、植毛後のパイルに圧をかけて寝かせることができ、表面に変化をつけることができます。さらに、光沢感のあるパイルを使ったり、断面が三角形のパイルを使うことで、見栄えは変わってきます。また、変化の付け方には単にパイルを寝かせるだけでなく、揉み加工や洗い加工、タンブラー加工などもあり、これらを組み合わせることによって様々な表情の変化、風合いの変化をつけることができます。

お問い合わせ

パイルのことフロック加工のこと、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。 またフロッキー加工だけでなく、パイルの販売も行なっておりますので、パイル希望の場合もご相談ください。

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