京都パイルの誕生③
西陣に会社があった頃は、トラックから積み荷の揚げ降ろしがとても大変でした。
通りが狭いので、トラックを会社の前に停めると、通りをふさいでしまうんです。だからと言って他に停める場所はないので、そこでやるしかない。いつもご近所さんに「すんまへん、すんまへん」と言いながら、福井から届いた積み荷を降ろして、出荷するパイルを積むのを四人がかりで一時間でやっていました。雨だともっと大変でした。自分たちはビショ濡れになって二階からシートをテントのように張って、トラックにくくりつけた丸太棒と結んで雨除けを作りました。
パイルは20ポンド入り袋(約9㎏)をどんどんトラックの荷台に放り投げて積んでいきます。一度に出荷する量は250袋! この作業でずいぶん腕力がつきましたね~。そしてこの作業後のご飯が格別に美味かった!
当時では狭い場所で積載量限界の荷物を積むのは嫌がるドライバーがほとんどでしたが、一人だけ快く引き受けてくれるドライバーの方がいました。小粥さんといって、背が高くて細いんだけど筋肉質で、今でいう細マッチョですね。40代半ばで無口な方でした。
すごくお世話になってたからというのもあるのですが、妙に馴染んで、京都パイルの社員旅行や忘年会などの宴会には必ず呼んで来ていただいていました。それが50年くらい前なので、まだご存命なら100歳前後ですね。もしご存命ならお会いしたいなぁ~。